長岡京の地形

長岡京の地形について

長岡京の地形とは

長岡京の地形は、京域の確認されている他の宮都、藤原京(新益京)、平城京、平安京と比べると、際立って異なっている。

それは主に狭隘な地形によるものである。

山背国乙訓郡
(長岡京が置かれた山背国乙訓郡の地形)

長岡宮域の地形

長岡京の長岡宮は、宮域が西山山系の向日丘陵に掛かり、とりわけ宮域の西部は高地となっている。

そして、大極殿も宮域西部よりは低くなるものの、長岡京全体で見た場合には、高台に位置している。

長岡京の京域は、南方へ向かうほど土地は低くなっており、大極殿は京域全体を見晴らす場所に建ち、京域からは大極殿を見上げる形となるために、桓武天皇の皇都としての威厳を有していたと思われる。

このような大極殿の地理的特徴は、平地に大極殿を配置していた他の宮都とは、際立って違うところである。

かつて藤原京の宮域が低地にあるために、藤原京内の汚物が藤原宮域に流れ込むと言う欠陥を露呈したのとは対照的と言える。

京域の地形

また、京域の地形を見ると、右京域と左京域とでは、大きな違いを見せる。

右京域の地形

右京域は、砂礫層の安定した地層であり、かつて古墳時代に築造された古墳のほとんどが、この右京域に築造されている。しかし、その反面で、右京域は、用水の便が悪く、旱魃の影響を受けやすい地域である。

左京域の地形

一方の左京域は、沖積層の軟弱な地層で、桂川や小畑川等の河川の氾濫の影響を受けて、水害による甚大な被害を出しやすい地形となっている。

結果的には、この左京の水害が、長岡京の皇都としての生命を断つこととなる。

京域南部の地形

南東部には「巨椋池」(現在は全て埋め立てられてしまい存在しない)、南部に桂川・宇治川・木津川が合流する「淀川」が存在する。

このことで、「水利」や「水運」に恵まれた。とりわけ「水運」の面では、長岡宮第一次内裏の短期間での造営を可能とした。

長岡京の地形のまとめ

宮域を向日丘陵に置いたことで、京域のどこからも宮を見上げることが出来る構造になった都城は、日本史上に数ある都城の中でも長岡京だけである。

宮を立体的に演出した造営法は、長安のそれを参考にしたことが推測される。

このように、京都盆地の西隅の狭隘な地形を生かした造営は、他の都城・宮都とは違ったものであり長岡京だけが持つ大きな特徴となっている。